Toward Liquid Cooling
~ 水冷コンテナデータセンター構築への取り組み ~
データセンターに求められる液体冷却への対応
生成AIをはじめとするHPCはその高い計算力を産み出すために膨大な電力を必要とし、膨大な電力は同時に非常に高温の熱を排出します。
特に計算力の中心となるGPUが必要とする電力、排出される熱は以前とは比べ物にならない規模になっています。
これらの熱を処理するため、これまではヒートシンクとファンを使用した空冷という仕組みを用いていましたが、冷却のためのスペースが多くなってしまうこと、また、そもそも冷却能力が足りないことなどから、最早空冷のみではサーバ稼働が困難な状況になっており、より冷却効率の高い「水冷」に現在注目が集まっています。
液体冷却導入への数多くの障害
しかし、これまで稼働してきた全てのデータセンターが液体冷却を導入できるかといえば決してそうではありません。
一般的に水冷環境を導入するためには「水冷サーバ」「水冷サーバ用ラック」「CDU」「水道配管」「膨大な量の冷却媒体(水)」「冷却媒体を再冷却する機構・装置」が必要です。
例えば建屋型のデータセンターに、これまで必要のなかった水道配管を各フロアのサーバルーム全域に敷設するということは現実的とは言えません。
また、膨大な量の冷却媒体を用意することも国内の大多数の地域では非常に大きな障害となり、首都圏では特に顕著な問題となります。
当社では数年前から、この水冷時代を見据えて対応の準備を進めてまいりました。
数多くの発想、試行、検証とデータ収集を繰り返してきた当社だからこそ可能な「水冷コンテナデータセンター」の構築に取り組んでいます。
潤沢な水源
当社が構築している「GXデータセンター(新潟県湯沢町)」は水源が豊富で、毎分600L+αで湧出する井戸水を複数用意しています。
この地域では井戸水は通年15℃~17℃の温度を保ち、サーバを冷やすクーラントが抱えた熱を吸収する一次水として有効活用できます。
公的機関による水質の検査も実施済みで、各項目について飲料水と同等の水準を持っています。
また、近隣の河川についても取水権を取得しているため、障害発生時やメンテナンス時の水源バックアップも十分に確保できているといえます。
自由度の高い配管構成
水道配管の自由度、拡張性の高さも当社のコンテナデータセンターならではの要素です。
これまで空冷で使用していたコンテナに対して新たに水道配管を引き込むことも可能で、配管の工夫で引き込みの水源系統を複数に増設することも容易です。
勿論、コンテナ内の水冷ラックや水冷空調への配管も接続機器を問わず、フレキシブルに対応が可能です。
ノンチラーによる消費電力削減とPUE値向上
一般的に、水冷環境を導入するデータセンターでは一次冷却水を循環させる過程で、チリングユニット(チラー)という装置を用いて電気的に一次冷却水を再冷却しています。
しかし水源が潤沢に存在する当社のコンテナデータセンターでは、温水となった井戸水(一次水)を循環・再冷却せずに敷地内で運営するIT農業に活用でき、再冷却にかける消費電力は実質0kWです。
また、冬季には融雪のために温水を再利用することで、ファシリティにかける消費電力を削減し、結果としてデータセンター全体としてのPUE値も大幅に向上させることが可能です。
より革新的なノンチラー循環型水冷
当社では2018年からコンテナ内で熱交換と冷却水循環を行うコンテナCDUの開発と検証を進めてきました。
現在、この技術を活用してサーバの熱で温水となった井戸水を別系統の井戸水や河川水で再冷却を行い、チラーなどの電気的な冷却を一切用いることなく、半永久的にコンテナデータセンター内に冷却水を循環させる仕組みを設計開発中です。
これにより、系統毎の水源によって冷却可能なコンテナサーバーの台数は大幅に増加し、数多くの高計算力AIサーバの稼働が実現されます。
飛躍を続けるゲットワークスのコンテナデータセンター
当社はコンテナデータセンターの可能性を常に模索し、次代のソリューションを産み出すため日々実績を重ねています。
この水冷がマストとなる時代も以前から想定し、迅速に対応すべく開発を進めてまいりました。
現在も、水冷サーバ内で除去しきれない熱を補助的に除去する水冷タイプのInRow空調を設置したコンテナサーバーや、水源確保が難しい土地であっても十分な水冷環境を構築するためのクーリングタワーとコンテナデータセンターのパッケージなどをパートナー会社と共同開発しております。
水冷のさらに次の時代も見据え、ゲットワークスはこれからも飛躍を続けます。